謹賀新年! 本年もよろしくお願い申し上げます

あけましておめでとうございます。

本年がみなさまにとって、幸多き年となりますよう心よりお祈り申し上げます!


さて。

2021年元旦、超久々にきものを着た。

コロナ禍でお出かけ回数が激減したこともあり、また「気軽に自宅で洗濯できないモノを着るのってどうなのかしら?」などと思ったりもして。とんと、ご無沙汰であった。

かれこれ30年近く前に、初めて自分で買った着物、大島紬。椿のようなお花の柄の帯は10年ぐらい前に購入した名古屋帯。この帯、ちょっと個性的でお気に入りなのだけど、何故か、あまり締めてなかった。元旦の「おうちdeひとり遊び」に締めるのにふさわしいわ、と選んだ次第。


家にいるときに着物、外出するときにお洋服という人は、私は磯野波平、フネ夫妻しか私は知らない。波平は会社勤めなのでまだしも、フネさんはどういうことだろうか。家事をするなら、断然、洋服のほうが便利だ。


今年の私は大晦日に煮豚を煮込み、お雑煮の材料の下ごしらえも万全である。とはいえ、「めしあがれ」と給仕してくれる人は、私の妄想の世界の住人なので現実的な活躍は期待できない。妄想の現実化、いわゆる「引き寄せ」もだいぶ熟練してきたので、今後に期待しつつ今日のところは自分でやることにした。

割烹着、出番ですよ。


すっかり、磯野フネコスプレである。そういえば、着物姿でコスプレの聖地・秋葉原を歩いていたら「あの人、なんだろ?」「ああいうキャラいたっけ?」とヒソヒソされたことがあった。オバサンと思わずに、コスプレイヤーのひとり、と認識する秋葉原の若人の懐の広さよ。今日はオバサン、磯野フネだよ!


割烹着は大変、機能的である。どれだけ機能性に優れているか、というと医療用ガウンとほとんど同じデザインなのだ。割烹着と医療用ガウン、どちらがインスパイアしたのだろう? 医療用ガウンがグローバルに使われているのに対し、割烹着はニッポンのきもの愛好家の婦人のみ、という市場規模の差が切ない。


久々に自撮り棒とリモコンシャッターを取り出して自撮りにいそしんだ。割烹着の白がいい感じにレフ版効果を発揮している。お似合いだぞ、私。

食事を用意はもちろん、食べるときも割烹着を着ていれば安心だ。年賀状を書こうと筆ペンを持っても袖口の汚れの心配ご無用だし。と結局、ずっと割烹着を着たままで過ごしていた。


着物を着たかった、というよりは、割烹着を着るために着物を着たかのよう。


そうか。フネさんは割烹着を着るために、家で着物を着ていたのか。確かに、割烹着には炊事を「やる気」にさせる効果がある。その証拠にいい気になって、ぜんざいまでこしらえてしまった。小豆400gも煮てしまい、「食べきれるのか」と途方に暮れてググったところ、冷凍できることが分かり安堵した。


磯野フネコスプレを満喫して気づいた。このコスチュームプレイが楽しいのは「100%自分のため」だからである。

いかなる家事も、その目的が「自分以外の誰か」を意識し始めた途端に、純粋に楽しめなくなるのだろう。時間に余裕があって、自分を快適にするため、自分においしいものを食べさせてあげるためならば家事は楽しい。


「やってあげている」という意識とか、「よく思われたい」というエゴや、「やらなくちゃ」という義務感が入り込むと楽しくないどころかモヤモヤしたりして、メンタルがゆらいでくる。それは、多分、家事に限らず、仕事や人間関係など人生におけるすべてのことに通じる。

自分以外の誰かと暮らしていたり、仕事をしているとどうしても「100%自分のため」とはいかないシーンが出てくるので注意が必要である。だから、仕事で「自分の美意識」を基準にすることにした。「私の美意識では、スケジュールどおりに進めたいのです」という風に。

そして、スケジュール通りに進めるために、手間をかける必要が出てきたときは「〇〇さんがやってくれないから」ではなく、「私の美意識のため」という軸を気合を入れて持ち続けるようにしている。とはいえ、疲れたり、時間がなかったりするとどうしても、その軸がブレそうになる瞬間がある。でも、モヤモヤしているよりも軸を取り戻すことにエネルギーをそそいだほうがてっとり早い、ということもだんだんと分かってきた。


2021年は今以上に「自分の美意識のため」の軸を太く、頑丈にしていきたい。


今は時節柄、なかなか許されないけれど、自分のために大量にこしらえてしまった「ぜんざい」は「よかったら、食べない?」と言える量だ。「ぜんざい」と同じように、自分のためにしたこと、することは「他者を思いやること」の糧にもなる。空腹で死にそうです、という人が現れたら差し出せるし、現れなかったら全部、自分で食べればいいのだ。


元旦だからだろうか。

磯野フネコスプレの成果だろうか。

つい抱負を述べてしまった。


今日も読んでくださって、ありがとうございます。

2021年も皆様の毎日に、ププッと笑顔があふれますように♪




















栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。