政府がフリーランスの人材活用という寝言を検討しはじめているそうなのでフリー18年の私の感想を述べようとおもう。
こんにちは。ブランディング・ライターの栗原です。
今週、私は忙しく仕事をしておりました。「お仕事があって、ありがたいなあ」と思いつつも、体調管理のための十分な睡眠時間を差し引いた稼働時間の中でやりくりしましたが、夕食はアウトソーシング、つまり外食やお弁当などに頼らざるを得ない1週間でした。
そんな日々を過ごしている中での仰天ニュース。
経済産業省は17日、企業と雇用契約ではなく請負契約などを結んで働くフリーランス人材を活用しようと、有識者でつくる「雇用関係によらない働き方」に関する研究会の初会合を開いた。ITなどの専門技術者や出産、育児で企業を退職した女性の新しい労働の形を模索し、政府が進める「働き方改革」に取り入れるのが狙いだ。経産省は実態を調査するために月内にアンケートを実施する。(11/17付けWeb版産経新聞より)
このアンケート、私のところにも来るのかな~? なんなら、有識者会議とやらにも呼んでほしい。万が一、呼ばれたとしても、片っ端から反論しまくって、二度と呼ばれないだろうけどね。
そんな私が声を大にして言いたいのは。
「わあ、政府が検討するのなら、フリーランスになるのもいいね」という誤解をしちゃうことのないように、ということです。
私が気に入らないのは出産や育児という文脈で「女性の新しい労働の形」という前提として「検討する」といっているところ。
ドラマ『ドクターX』の人気に乗じて「フリーランス」なんて政府が言い出しちゃった感がしているのは私だけではないでしょうが、そもそも大門未知子先生は「天才外科医」だということを覚えておきたい。
医師免許を持つ天才。
趣味・手術、特技・手術。
独身。
という大門先生のプロフィールにおいて、
出産や育児などは(今のところ)どこにも出てこない。
社員やパート、アルバイトであっても「子供が発熱して」という理由での早退や欠勤が「迷惑だな」という位置づけになっている今のニッポンにおいて、そうした可能性のある人がフリーランスで働くというのは、「そのような事態になった場合は、各自で解決してくださいね」ということを意味していると思うのですが、いかがでしょうか。
フリーランスは仕事を優先させなくてはなりません。
なぜなら、一匹狼だから。
代わりに仕事の対応してくれる人がいないから。
よって、緊急事態発生時には夫、祖父母、近所の友人などなどの「頼れる助っ人」がいてくれることが大前提になります。そして、こういう助っ人がいるかどうかは雇用形態の問題ではないのですよね。
出産や育児の前からフリーランスとして働いてきた人ならば、自分の仕事やライフスタイル、助っ人の存在などを考えてやりくりすることが可能かもしれない。
しかし、出産や育児を機に退職してフリーランスにという場合。
新米母さんが新米フリーランスになるわけで。
難易度が高い。
政府が検討すべきは「就労の機会」のことではなくて、
「働く母さんを国として
どうやって
サポートしていく?」ってことで。
つまり、日本の未来を担う子供たちが健やかに育てる環境を国がととのえましょうということであり。
検討すべきは、現役の労働世代が働きやすい環境、子育てや介護、家事などのケアワークをフォローできる体制を国が作ります、ってことなのではないでしょうか。
フリーランスなら、育児も介護もできるよね? なんて思惑スケスケの寝言のような方針を固めて「検討する」なんて上から目線で言われても、どっちらけを通り越して。
ムカつく。
私は10年以上前にバツイチとなり独身で子供もいませんが、犬や猫と暮らした経験からいうと女性は「自分が守らねばならない命」を目の前にしたときに、防衛本能が高まるのですね。つまり、守りを固めたい! という本能的な欲求に突き動かされます。犬や猫は自分で産んでもいませんから、妊娠・出産によるホルモンバランスの変化の影響を受けていないというのに。
やわらかくて、暖かくて、小さくてかわいくて、か弱い生き物が目の前に現れた瞬間に
「この子は私が守らなくては!」
モードに一瞬にして切り替わります。
そして「できるだけ、安心安全に暮らしたい」と切望するようになる。
猫なんて生後1か月もすれば、トイレもマスターし、自分で食事を食べるようになるし、お留守番もさせられるし、毎日、風呂に入れなくてもいい。ところが、人間の子供はそうはいきません。「安心安全に暮らしたい」という思いはわが子が「お腹がすいたら自力で何か食べることができる」ようになるまでは最強モードで続くのではないでしょうか。
フリーランスは一匹狼で就労形態としては不安定ですから「攻め」と「守り」を一人でこなすような働き方です。「安心して働きたい」という母性本能との相性は悪い。
疑似母性を経験した私は世の中のお母さんたちが欲しているのは「安心できる暮らし」であり、国が提供できるのは「社会が守ってくれる」ということの実現なんじゃないか? と思うのです。
フリーランスを18年やっていて、最近、日本は「段取りの悪い幹事のようだ」と感じています。社会保険料が年々、ジワジワと金額があがってますよね? 「会費5000円で」といわれて参加した飲み会で、「ごめん。参加人数が減ったから、ひとり7000円でいい?」って言われているような気分です。
人数の減少をあらかじめ、
見込んでおけよっ!
と怒りつつ
「何人、欠席だったの?」と聞いたら、
「うーん、10人来るはずだったのだけど、よく考えたら7人しか呼んでなかった」
「え?それって欠席じゃなくて、最初から頭数に入ってないよね?」
「まあ、そうともいうよね」
という幹事がいたら、二次会ではそいつの悪口で盛り上がること間違いなしですが、ニッポンってそういう段取り悪すぎる幹事みたいだと思うのは私だけではないでしょう。
高齢化はね、予想以上に寿命が延びたということなのかもしれない。
でも、
少子化になるってことは
1980年ごろには
明らかになっていたよね?
なのに、
男女雇用機会均等法を
86年に施行して
女性の社会進出を促して、
結果、
ますます少子化になったって
言ってるように感じるんだけど。
読みが甘かったんじゃないの?
デキる幹事は出席人数を少なく見積もっておくなどして、
「ひとり5000円っていってたけど、4500円で大丈夫だよ」
というような采配をして人望を集めるものです。
500円安くなって喜んでいるのではなくて、
その先見の明に
頼れる人だという信頼感を覚える。
なんでね。
有識者会議に万が一、呼ばれたら
大喜びで反論しまくりに行くけどさ。
政府という立場でやるべきことは
保育園作ります
介護施設作ります
という
ケアワークは国が頑張るから、
女性のみなさん、大いに働いてください!
働き方は各自自由に、選んでいただけるぐらいに。
ケアワークのほうは
充実させますんでっ。
という政策なんじゃないですか?
これぞ
「会費5000円」といいつつも
集金タイムに「4500円でいいよ」という幹事が
その先見の明のすばらしさに
この人に任せておけば安心!
と信頼を集めるのと
同じ図式だと思いますが、どうでしょうか。
「フリーランス人材活用の検討」などという
ちまちまとしたことなんて、
現役フリーランス10人集めて
話し合いしたら結論、出ると思うよ?
フリーランスで育児中の女性もね、
子供、保育園に預けてるから。
フリーランス=在宅=保育園いらない
ってことじゃないからね。
安倍さんがやたらと
外国に多額の援助をしますっていって
ドヤ顔してるのを見るとガッカリして、
情けなくて涙出そうですが、
あれって。
参加者から「やっぱ7000円もらっていい?」って
自分の仕切りの悪さを棚に上げて徴収しておいて、
別の飲み会では格好つけて
「俺がおごるよ」ってやってることが
バレバレな人みたいな。
稚拙さを覚えるからなのだよね。
おっと、脱線。
フリーランスという働き方を続けてきて、
決して悪いものではないと感じています。
わたしには合っているんだろうなって思う。
でも、
みんなにおススメはできないし。
ましてや、子育てとの相性抜群なんて言えないし。
メリットはあるけれど、デメリットもあるのは事実。
フリーランスの人材活用を検討なんて、
今、この国にとって、
働く女性たちにとって、
本当に必要なことの
論点をそらして、ごまかそうとしているようにしか感じない。
そういう状況の中で政府が「フリーランス」なんて
個人的な就労形態を推進しようとしてきた今の時代。
自分がどう生きるか
どう生きたいか
をしっかりと意識していくことが大事なんだなと
つくづく思いました。
それにしても『ドクターX』はおもしろいね。
勧善懲悪モノなんだけど、「悪」に分類されるメンバーのキャラもユニークで憎めないから、必要以上にハラハラせずに安心して観ることができる、癒し系ドラマだなあと。
録画しておいて寝しなに見ても、心地よい眠りにつけます。
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