『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』での暗闇体験は「百聞は一”験”にしかず」でありました。

こんにちは。栗原貴子です。


先日、お友達のまとさんと一緒に『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』を体験してきた。

帰り道に原宿の竹下通りにて撮影。

やたらと嬉しそうな私達ですが、それぐらい心揺さぶる体験だったのです!


『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』では完全なる暗闇の世界を、視覚障碍者の方のナビゲーションで体験する。どのような内容なのかの詳細をここでぐたぐたと解説するのは野暮天の極みであり「行ってみてちょ~だい」なのである。


普段、「見える世界」に当たり前に暮らしている私達にとって、真っ暗闇の「見えない世界」は非日常を通り越して「未知の世界」である。2~3歳のころに「ママのお腹の中にいたとき、どうだった?」という質問をされた際に「真っ暗だった」とコメントしたことからも私の暗闇に対する愛着がうかがえるが、ワクワクと当日を迎えた。


真の暗闇は当たり前だけれども「マジで見えない」。しかし、私の眼球の筋肉が懸命にピントを調整して「見よう」としているのを感じた。つまり脳が「見えないこと」にまったく納得していないのである。まとさんと「じゃあ、一緒に行こう!」と言ったのも、申し込みをしたのも自分、すなわち私の脳の判断である。始まる前に「ワクワクしています!」なんて嬉しそうに発言していたではないか。脳よ、あれもお前の言語中枢から発せられた言葉であるぞ。


なんと往生際の悪い「脳」なのだろうか。


しかし、どれほどにピントを調整しまくっても見えないものは見えない。


ようやく、脳が観念した。


観念した途端に、何かが変わった。


人は情報の8割を視覚で得ているという。

五感のうちの8割を担う「視覚」がないのでその他の聴覚、触覚、嗅覚が「出番?」とばかりに研ぎ澄まされていったのだ。


例えるならば、「株式会社わたし」のエース社員「視覚さん」が機能しないとなったのに、「脳社長」はその事実をなかなか受け入れることができなかった。しかし、「脳社長」が「視覚さんはお休みなのでみんなでなんとかしていきましょう」となった途端、普段はその存在感をアピールできなかった「聴覚さん」「触覚さん」「嗅覚さん」が腕まくりしはじめた感じだ。「味覚さん」もよっしゃと立ち上がった。


そして、「あの人、幽霊社員なんじゃないの?」とウワサされていた「第六感さん」も。


『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』体験の1月ほど前に、私はたまたま、有楽町の街で白い杖を持った男性に遭遇した。その人は、違法駐輪している自転車のたまり場のような場所があり、そこで困っておられたのだ。


「正面に自転車がたくさんあって危ないですから、立ち止まってください」と声をかけた。最初は点字ブロックに案内するだけのつもりだった。けれど、先の道に目をやれば点字ブロックは道の途中で途切れていた。歩道と車道の区別もつかない上に、この先の細い道には信号機もない。


私の用事は急ぐものではなかったので、その人の目的地の『アップルストア』までご一緒することにした。


とてもフレンドリーで朗らかな男性だった。私の右肩に手を乗せて一緒に銀座の街を歩いた。


バリアフリーによって歩道と車道の境目の段差がなくなり、視覚障碍者の人にはわかりづらくなったことを、その人は教えてくれた。


「でも、車いすの方やお年寄りやベビーカーの方には段差がないほうが便利ですよね」


その人の言葉にはなんの棘もなく「ま、しょうがないですね~」といった様子で、「世間はどうせ分かってくれない」的な恨み節感がまったくないことに、私は圧倒された。


あちらたてれば、此方が立たぬ、という現実。そして、「その分、視覚障碍者の方がご不便なので、居合わせたらお声がけしましょうね」という周知がされぬままという現実があるのだということを知った。


歩きスマホの人は前方不注意なので、何度か「通ります」と声をかけなければならなかった。道端で突然、立ち止まったり、方向転換をする人がこんなにも多いのかと思った。何よりも、私達に注意を払う人の少なさに驚いた。


『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』の暗闇の世界の中で私の脳が観念しきっていなかったとき。


私は方向感覚を失い、案内をしてくれた視覚障碍者の方の肩に手を置いて、少しだけ誘導してもらった。


有楽町での出来事の記憶がよみがえった。あのときと正反対の状況である。


見えるか、見えないか。

それは、光と闇の違いにすぎない。

光がなければ、私たちは何も見えない、何もできない。

だから、自然と声をかけあい、助け合うようになる。




私達は普段、「見える」ことによって、

大切な「何か」を見逃しているのかもしれない。





暗闇の体験はたくさんの笑いや喜びもあって。写真のまとさんと私は、めっちゃ嬉しそうな顔をしているのでした。



暗闇体験は、すべての人にきっと何らかの「!!!」があると思いますが、とくに普段から「気が効かない」「空気が読めない」「察してもらえない」等々のお悩みがある人には、大いなる「!!!」があると思います(これらはすべて”見て”することですから)。



今日も読んでくださり、ありがとうございました♪



皆様の毎日に「ププっ」と笑顔が溢れますように!!











栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。