方向音痴だからこそ実感。人生の迷路からの抜け出し方。

こんにちは。栗原貴子です。


私は類まれな方向音痴です。この頃は記憶と経験と、そしてグーグルマップさんのおかげでかなり助かっているけれど、ライターになりたての20年ぐらい前は大弱りでした。


「この仕事、向いてないかも」


と弱気になった理由が、方向音痴。


取材先にたどり着くということが毎回、アドベンチャー。

初めての場所に出かけるだけで気分はトラベラー。

「はじめまして」の人とコミュニケーションを図り、取材をするというプレッシャー。


ラップ調でお届けしましたが、新米ライターだったあのころはこんな風に毎日がドキドキの連続だったなあ。当時の私に会うことができるのなら、「よく頑張ってるね! 大丈夫! つらいのは今だけだから」言ってあげたい。未来にはグーグルマップというものが誕生し、それは持ち歩けるカーナビみたいなものだから大丈夫よ! って。それぐらい、真剣に悩んだのですよ、方向音痴には。


自分でどうにかするのには限界があると気づいた私は観念して「方向音痴なので、現地集合ではなく駅で待ち合わせにしてください」という風にお願いするようになった。「方向音痴だからあの人には仕事を振らない」と言う世界であれば、それまでであるという覚悟を決めたのです。ってね、私が深刻に考え過ぎていただけでカミングアウトしてみたら、世の中の人々は皆、優しかったのでした。


方向感覚が優れている人のナビゲートで取材に向かう体験をして分かったのが「方向音痴の人は歩く歩数が多い」ということ。「あれ、こっちかな?」「こっちじゃないぞ」などとウロウロしている内に、相当な距離を歩いているわけで。マッサージ師さんに「筋肉質ですね。何かスポーツを?」ときまって聞かれるくせに運動経験ほぼ0なのは、方向音痴ゆえ運動量が多いからなのかも知れません。


大人のくせに泣く寸前レベルの迷子を幾度か経験して分かったのは、迷いながらウロウロするのはかえって目的地の方角を分からなくさせる、ということでした。一度立ち止まって、落ち着いて現在地を確認すれば、焦りのあまり見逃していた看板などの目印を必ず見つけられる、ということに気が付いたのです! 


そして、これって人生の迷路にはまり込んだときと、とても良く似ているなって思う。


「うまくいかない」と感じる時期って誰の人生にもやってくるもの。そんなときってリアルに道に迷っているときと似ていて、焦ったり、不安になったりしているのですよね。そんな心理状態でやみくもに動いてもドツボにハマるのは明らか。でも、何も行動せずにジッとしているとますます焦ったり、不安になったりしてしまうのも事実。でも、それって焦りや不安をごまかすためにしている行動なんだよな~と、我が身を振り返っても思う。



なんだか人生、うまくいかないことが続いて

迷路に迷い込んでるかも? というときは。

「前向きな行動」と思しきアクションを取るのはやめて、

現在地を確認するときのような気持ちで

1日、1日を淡々と過ごすことが

大事なんだな~、って思います。



方向音痴に困っていた頃の私は


①方向音痴であることを隠蔽しようと涼しい顔をして現在地で待っていようとしていた

②隠蔽したかったのは「方向音痴なんて使えね~奴」と思われるのが怖かった。

③野生動物のごとく「弱みを見せたらおしまい」ぐらいに感じていた。


要するに「いいカッコがしたかった」わけです。


なんでいいカッコしたかったのか?を突き詰めると我ながら泣けてくるんですけどね。


いち目置かれたかった


わけじゃないんです。


いいカッコしないといけない!


なんですね。いいカッコしないと、仕事がもらえないとか、認められないみたいな、そんな気持ちでおりました。


我ながら「なんでそんなに気負ってるわけ?」と思うぐらいの気負いっぷりですけれども、マジで思っていたんだよね。


だけど、「たぐい稀な方向音痴だ」とカミングアウトしてみたら、「じゃあ、駅で待ち合わせましょう」って言ってもらえるし、現地集合のときも「迷ったらすぐに連絡してくださいね。迎えに行きますから」って言ってもらえるので、気負う必要もなくなって。


あれはなんだったんだろう?


って昔の自分のことを馬鹿だなあって思うと同時に、一生懸命でかわいい奴め、みたいにも思うのでした。


方向感覚に研ぎ澄まされている人には、ちょっとイメージしづらいかもしれないけれど。


人生うまくいかないときは

いったん立ち止まって現在地を把握。

そうなるべくして、

「今」があるのだという前提で落ち着いて、私!


という気持ちで見回してみると。迷子の時の焦りや不安という感情によって最悪な気持ちになっているのと同じように。落ち着いてみれば、思っているほど悪くないことが見えてくるはず。


迷子のときもね、立ち止まって現在地を把握すると、案外近いところにいることが分かったり。道を1本行き過ぎただけだったことが分かったりして。「焦るほど迷っていない」ことがわかってホッとすることが多いのですよね。


日没が早くなってきましたね。

さわやかな空気と虫の音が心地よい9月最初の日。今日もひとつドジをかまして、ちょっぴり落ち込んだのですが、それでも地球は回ってるのですね。


今日も読んでくださってありがとうございました。

みなさまの毎日に「ププッ」と笑顔が溢れますように。











栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。