育てたベビーリーフからのガレット、そして引き寄せる。
2021年の大晦日に、ベビーリーフの種をまいた。
仕事で、必要に迫られての種まき。しかし、私は植物界におけるシリアルキラーである。ちゃんと育つのか大いに不安であったが、この2年ほど園芸について学び「なぜ、かわいがっているのに枯れてしまったのか」をそれなりに知った。今なら、デキそうな気はする。とはいえ、季節は種まきに推奨されていない冬。しかも着物のことを考えて「直射日光ばっちりは避けたいのです」という選択をした拙宅である。日照時間の短い冬かつ日当たり良好ではない。そこで、太陽のように植物を照らすライトを購入した。
そのライトの電源を非常用に購入した「ソーラー発電機」にゆだねることによって、「間接的に太陽の恵みを受けて育ってくれるんじゃないか」という淡い期待を抱いた。
結論から言うと、種をまいたのが真冬だったために発育はのんびりであるが、ちょいちょい摘んで食べられるまで育っている。
やればできるじゃないの! あたし!
ベビーリーフをどう食べようか、と考えたら『ガレット』が浮かんだ。なんでガレット。多分、過去にどこかのお店で食べたガレットにベビーリーフがあしらわれていたのだろう。脳のシナプスがどのように結びついたかわからないが、ガレットは好きなのでガレット一択となった。
成城石井でそば粉を入手して、2月の日曜日の昼食にガレットづくりにトライした。
しかし。
焼き上がりがちょっとイメージしていたのよりも厚く、ぽってりしていた。味はまあ、いける。余分に焼いたガレット生地をとりあえず冷凍。理想の生地を焼くべく、研究しようと思った。
その日の夜、ケーブルテレビの点検の人がやってきた。
事前のお知らせに「点検の作業実施中、テレビのうつりが悪くなるかもしれません」と書いてあったが、私はテレビを持っていないので全然、お構いなしである。というか、テレビないのに点検する意味がよくわからない。ま、いいか。
「遅くなってすみません!」と30代男子がやってきた。予定していた時間を過ぎそうなので、予定を変更しますか? と途中、電話をくれていた。しかし、私は予定を変えるのがあまり好きではない。「遅くなってもいいので、今日、来ていただきたいです」とお願いしたのだった。
点検作業中、会話の流れで彼が元料理人で、転職して今の仕事に就いたことを知る。
「お料理のジャンルは?」
と質問すると「フレンチです」との回答。
え? フレンチ?
「あのね、私、今日、ガレット作ったんだけども生地がいまいちで」
ケーブルテレビの点検の人は、突然のクッキング相談に戸惑いながらも「生地、まだあります?」と聞いてくれた。いそいそと冷凍庫から生地を出して見せると「季節によって必要な水の目安は変わるので、レシピにこだわらずにもう少し水を足してもいいこと」、「焼くときにフライパンの熱を冷ますこと」をアドバイスしてくれた。
「ガレット上手に作れるようになりたいな」と思った矢先に、「元フレンチのシェフがケーブルテレビの点検にやってきてくれる」という奇跡。予定を変更していたら別の人が来ていたかもしれないことを思うと、これは3月にしてもう、2022年引き寄せマイベスト入りである。
アドバイスに従って、本日作ってみたガレット。
元フレンチシェフのケーブルテレビのお兄さんの助言により、けっこう私の理想に近づけることができた。写真を撮る際に黄身をちょい見せして半熟ぶりを出したほうが、おいしそうになります。うう。私としたことが。ひとりディレクションミス。卵がいい感じになったので、早く食べたくて写真を撮る時間を惜しんでしまった。
奥のベビーリーフが、大晦日に種まきした子たち。いつの間にか、話題の主役がベビーリーフからガレットになってしまったが、使いたいときにちょい収穫して食卓に、というのをこの私が実現できるなんて、感激。
ベビーリーフをオリーブオイルとハーブソルトであえて、おやつ用のミックスナッツをくだいてまぶしたら、おしゃれっぽい見た目になり「採れたてフレッシュ感」のおかげなのか。スーパーで購入するベビーリーフよりも「ベビーリーフの味」が濃かった。
ちなみに、ベビーリーフはこんな風に栽培している。太陽の位置が変わり、今の季節ならば午前中から昼過ぎぐらいまで自然光が入るので、そのとき太陽の光がぞんぶんに当たる位置にこの子達がいられるよう、模様替えまでした。思いやり溢れる、元シリアルキラーである。
よく考えたら、自分で育てたものを自分で食べたのは、生まれて初めてだった。感慨深い。映っている鉢やプランターの半分は「かわいがってたのに枯れちゃった子」たちの”形見”である点もシミジミする。
「かわいがっているのに、枯れちゃう」から「かわいがって食べる」に進化した私であった。
0コメント