「きものって寒くないの?」というご質問にお答えいたします。

東京は「マジで寒い」という日が続いております。みなさまの街はいかがでしょうか? 私は「そうだった、冬はこれぐらい寒いのだったわ」と冬の寒さを失念していたことを猛省いたしました。


こんにちは。栗原貴子です。


今日は、よく質問をいただく「きものは寒くないの?」について、ちょっと長くなりますがお答えいたしますね。

和装、洋装ともに「外は寒いけれど、建物や乗り物の中は暖房が効いているという寒暖差」がつきものです。寒いからといって「着こめばよい」というわけでもないのが難しいところですよね。


とくに、きものは「自分の肉体における寒暖差」もあり、「室内は暑い」からといって脱ぐにも限度があるので、そのことも計算した防寒が必要です。


きものは胴体がかなり温かいです。


下着、長じゅばん、きものを重ね着している上に帯を巻いております。帯は二巻しているので世の殿方の憧れ「あ~れ~」ほどグルグル回転しませんが、寒さ対策としては万全の備えです。毛糸の腹巻を3枚ぐらい重ねているような感じをイメージいただけるとよいかと思います。

しかし、腕は無防備。女性のきものは「身八つ口」というスリットが脇にあり、柔肌が外気に触れてしまうのですね。なので、みなさんアンダーシャツを着ています。このアンダーシャツですが、私は綿100%を愛用しております。ヒートテック的な「汗を感知して発熱します」という機能性の高い素材は、腹巻3枚重ね状態の胴回りが暑くなり過ぎてしまうのです(殿方のきものの場合、胴体はそこまで温かくはないと思いますので、機能性の高い素材の着用も可能かと思います)。


脚も下着、長じゅばん、きものを重ね着しているので「ロングスカート二枚履き」ぐらいの保温性があります。でも、タイツやパンツに慣れた現代女子にはいささか不安。そこで、レギンス、スパッツ、パッチと呼ばれるようなアイテムで万全の備えをしておくとよろしいかと存じます。冷え性の女性は「レギンス+レッグウオーマー」という方もいらっしゃいますよ!


問題は足です。


足袋に草履

ホールド力としては「靴下にビーサン」をご想像いただけるとイメージしやすいかと思います。実際の草履はビーサンよりも鼻緒もソールもしっかりしておりますが、ブーツに比べるとじつに心細い感じ。


足元の防寒というところでは、工夫のしどころがいっぱいあって「内側がモフモフになっている足袋」といったアイテムも多数あります。スリッパのごとく先端にモフモフがついた冬用のお草履もございます。また、お手持ちの草履に「爪皮」をつけ、つま先の保温を高めるという技もありますので、お好みに合わせてチョイスしてくださいね。


とはいえ、冬専用アイテムを揃えるのってビギナーにはハードルが高いもの。


そんなときにおススメなのが。


足袋ソックスをはいた上に足袋をはく。


という重ね履きです。


この重ね履きの利点は、暖かい室内と屋外との寒暖差にも対応できる、という点です。


屋外でモフモフ草履でOKでも、屋内では保温もさることながらビジュアル的にいささかミスマッチというか「あの人、もしかして、スリッパで来ちゃった人?」状態になることも避けられます(爪皮がモフモフのお草履はスリッパ感が出ちゃうのが私、どうも気になってしまう性分)。


では、コートはどうしたらいいのか?


羽織+ストールでもよいですが、ダウンに慣れた体には、きものと大差のない生地の厚さの羽織では心もとなく感じるもの。もちろん、ウール、カシミヤ、アルパカといったコート生地のきもの用のコートのラインナップも充実しているので選択肢は豊富です。


しかし。


「きもののときだけしか使えないコートを買うのは、ちょっと……」


という気持ちになるのも事実。


街ゆくきもの姿のご婦人を観察していても、「きもののときだけしか使えないコートはちょっと」と思っていたのだろうな、とシンパシーを感じます。なぜなら、みなさん「洋装、和装、どちらでも使えますねアイテム」を上手に活用されているから。


袖を通さずに着用できれば、和洋の兼用ができるのですね。

例えば、マントです。

こちらのマントはお洋服のセレクトショップで数年前に購入いたしました。

これね、衿元のカバー力も高いのでマフラーいらずな上に、ボタンをしっかりしめれば頭巾のごとくフードをかぶることもできるので「うわー、風が冷たい! 耳たぶがもげそう!」というような日も、すごーく便利なのです。


ラグランスリーブのような「袖がコートに収まらないわ」というデザインのお洋服にもぴったり!


私はそんな感じで、毎年、冬将軍をお出迎えしております。


きものであれ、洋装であれ、人が「寒さを感じる」のは「首、手首、足首が冷える」からだと言います。「首と名の付くパーツを温めること」が大事なのですよね。



今日も読んでくださってありがとうございました。

皆様の毎日にププッと笑顔が溢れますように♪


栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。