猛暑続きですので「浴衣」を着るときはくれぐれもご用心を!

こんにちは。栗原貴子です。

2018年7月は「人生でこんなにアツい夏は初めて!」とあって着物歴四半世紀越えの私も、かなり慎重になっています。なぜなら、「熱中症で意識を失って倒れて救急搬送コース」となった場合、命を落とす危険性はもちろん、助かったとしても最低でも1週間の入院が必要になると、以前、取材でERのドクターに伺ったから。


熱中症。

最悪

倒れたら最期。



熱中症対策を啓蒙するポスターに使いたいキャッチコピーです。

「いや~、ブラックすぎますね」とたちまち却下されるだろうから、個人的に発信することにしました。


とはいえ、夏は「浴衣を着たい」という人が増えるシーズンでもあります。メンズの浴衣は着たことないし、そもそも女なのでよくわからないけれど、男性はおそらく洋装よりも浴衣の方が涼しい。ズボンじゃないし、対丈、帯も細いし帯を締める位置もあまり暑さを感じない「骨盤」あたりだから(たまに、ウエストで帯を締めている若い男子を見かけるけれど、あれ、着崩れやすくなるし見ていておかしいからね!)。


しかし、女子は洋装時と比べて、圧倒的に胴体が暑いのは間違いありません。下着+浴衣の生地が二重(場所によっては三重に重なっているところもある)になり、帯が胴体に二巻するのです。キャミソール+トップスに比べると、圧倒的に布の重なりが多いわけです。


若い子でご飯をしっかり食べていて、栄養状態のよい子はいいんです。

心配なのは、食生活がしっかりしてない子と中高年のお姉さま方。

とはいえ、我々”お姉さま方”は、わりとご飯をしっかり食べているわけです。

心配なのは「お祭りの縁日で焼きそば食べるし~」とかいって、食べ物を摂取せずに着付けしてお出かけするような女の子たち。おばさんヒヤヒヤしちゃう。「浴衣買っちゃったから、お金ないし。ダイエットついでにご飯抜いてる~」とかね、もう、ダメだからね!!!!


この夏、浴衣を着て具合が悪くなって「浴衣、もう着ない」ってなっちゃったら、私、さみしいので、本日はあえて「口うるさいおせっかいおばさん」のごときアドバイスを、<着付け編><行動編>にわけてお送りします!


<着付け編>


着付けの前にはご飯を腹7分目までいただく

空腹で着付けると、飲食後に着物が苦しい、ということになります。とはいえ、満腹すぎるのもいかがなものか、なので腹6~7分目ぐらいにしておきましょう。

工事現場の警備員のおじさんの超個人的リサーチによると「現場で倒れて救急車で運ばれるのは、朝ご飯抜きで仕事にきてる若い子」なのだそうです。「若さへの過信+朝食抜き」がアウト!ってことですね。「おじさんたちはさあ、毎朝、みそ汁飲んでっから。年取ってるけど案外、平気なんだよね」っておっしゃっていました。塩分、大事です。


タオルでの補正は必須

肝に銘じていただきたいのは「絶対にタオルで補正しろ」です。タオルを胴体にひと巻きしてくださいね。薄手のバスタオルやガーゼタオルで構いません。「え~、太って見えるう」とか言ってる場合じゃないよ。補正のタオルが果たす役割はつぎの3つです。


①バストの高さの調整ができる!

胸は可能な限り、フラットにするのが美しい着付けになります。


②腰ひもなどの結び目の食い込みによる苦痛がない!

細身の人はとくに「結び目がろっ骨にあたって痛い」という事態になりやすいです。体には「結び目が当たると痛いところ」と「痛くないところ」があって、着付けのときに「急所を外して着付ける」っていうのは大事なんだけれど、それでも着ているうちに結び目がずれたりします。タオルがあると「痛くなーい!」です。

③タオルが汗を吸うので、深部体温の上昇を防げる

汗を出すのは体温を調整するためですが、汗の行き場がないとこもります。こもった結果、体温が下がらずに熱中症になっちゃうのです。なので、タオルを巻いている方が体感的には断然、涼しい、というわけなのです。映画なんかで観る、雪山で遭難したときに濡れた衣服は脱いで、裸になって抱き合って温めあうの逆パージョンです。雪山で裸? って矛盾してるように思うけど、理にかなってるってことですね。


着付けからお出かけまでの時間には余裕をもって

そして、着付けには時間に余裕を持つこと。自分で着る場合、体を動かすので体温が上がります。着付けてもらうときも、紐や帯をしめるときに「踏ん張ってください」とか言われちゃうのでピラティスのごとく「たいして動いていないけど、筋肉使う」みたいなことになります。着付けが終わった後に、座ってゆっくりと麦茶でもすする、ぐらいの時間的余裕を見ておきましょうね。


<行動編>

着付け時にあがった深部体温、そのままで出かけちゃうと、おもしろいぐらいに滝のような汗が出ます。一度、自分を「冷ます」ことがお出かけ前にはとても大事。急速に冷やしたいときは、うなじと脇の下に保冷剤を当てるのがおすすめです。


そして「焼け石に水」ですが保冷剤をもって家をでましょう。最寄り駅までの徒歩の間、うなじを冷やし続けていると、徒歩という動作による深部体温の上昇が抑えられて後々、かなりラクです。


暑い、と感じたら即ピットイン。


コンビニ、ドラッグストア、銀行ATMなどクーラーの利いている場所で涼む。長時間、冷えたいときは迷わず喫茶店へ。浴衣を着ていきたい「お祭り」「花火大会」という催しは屋外で行われるため、当然ながら暑い。人も多いので余計に暑い。縁日の焼きそばとかたこ焼きとか、屋台で熱使ってるしね。


お酒を飲むときは、お水をチェイサーに


これ、あまり知らない人が多いのだけど「酒」「コーヒー」「お茶」は水分補給にはなりません。飲んでいるけれど、かえって体は脱水するという不思議な飲み物なのです。嗜好品は水分補給にはならない、ということを肝に銘じおくと猛暑でも元気を保てます。大量に発汗したときは、ポカリスエットやアクエリアス、経口補水液をごくごく飲みましょう。「梅干し+水」というトラディショナルな組み合わせも効果的。最近では熱中症を予防する飴やタブレットも売っているので持っていると安心よ。


<まとめ>

◆着付けの前にはしっかり食べて「腹7分目」ぐらいにしておく。

◆絶対にタオルで補正する。

◆着付けは時間に余裕を持って、ゆったりとする。

◆着た後は水分をたっぷり補給して、着付け時に上がってしまった深部体温を下げる。

◆深部体温が下がってから、外出する。

◆外出先ではこまめに給水、涼むことを心掛ける。



正直に言うと、浴衣は暑いです。

でも「涼しげに着ること」がおしゃれで、粋な着こなしですから体調管理しながら浴衣ライフを満喫してくださいね。


今日も読んでくださってありがとうございました。

みなさまの毎日にププッと笑顔があふれますように♪

栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。