私の都合にあわせてくれなかったけれど、見事な花を見せてくれた、あの夏の向日葵を思いだす。

こんにちは。栗原貴子です。

現役の小学生時代は「夏休みの宿題は7月中に終えて、8月はすがすがしい気分で夏休みを満喫」というタイプでした。


この夏はありがたいことに、仕事が忙しく「宿題が終わってない子の気分」を疑似体験しているかのようです。


夏休みの宿題と異なり、仕事とは総量が決まっているようで、決まっておりません。小学生に分かりやすく説明するならば「次から次へと宿題が出され続ける」ようなイメージ。


ドリル終わった! と達成感に浸る間もなく、新しいドリルが目の前にやってくる。


学業と仕事のこの明確な違いを私は知らぬまま、大人になりました。


しかも仕事は1年生向けドリルの次に6年生向けドリルがきたり、表紙には2年生って書いてあったのに、中身は5年生じゃん!というようなこともしばしば。


私のように「宿題を終えてすがすがしい気持ちで夏休みを」みたいなことを若干6歳で思いつくような女の子は、大人になると「すがすがしい気持ち」のために仕事も頑張るわけです。が、次から次へと出題されるわけですから、この考え方では「いつまでたっても終わらないじゃない! キー!」になるわけです。


女の子からお姉さんになってからだいぶたったころに「終わってすがすがしく」というのは大人にはないんだな、ってことを悟りました。「できるところまでやろう」ではなく「今日はもうおしまい」と自分で決めることの大切さ。こうした、小さなことが日々の生活を快適にするか、ストレスにしてしまうかの違いであることに、目からうろこだったのでした。


とはいえ「提出日」「締め切り日」を守る、という小学校1年生のころから育んだ私の気質が大いに役立っている一面もあります。「自分で言った締め切りを、誰にも管理されずに自分で守った」ことを四十路も後半になった今年、たいそう褒められました。フリーランスを20年も続けてこられたのは、この「締め切りを守る」という気質もプラスに働いていたのでしょう。


問題は「速やかに終わらせて、あとはすがすがしく」という価値観だったのです。


大人になると、そんな日はこないということを早めに知っていれば、周りの人たちに恐れられるほどのストイックさで仕事に打ち込むこともなかっただろうね、と思う。「あとはすがすがしく」がいっこうにやってこないことに、ストレスに感じることもなかったはず。



小学生のある学年の宿題で「向日葵の観察日記」というのがあって、学校の花壇に植えた向日葵の成長を絵日記にする、というものがありました。


自分のペースで進められない宿題に、私は非常に困惑しました。


その年が冷夏だったのか、覚えていないけれど向日葵の生育は大変、遅く8月にずれ込み、中旬になっても咲かず、ようやく満開を迎えたのは下旬。画板をぶら下げて絵を描きながら『自然のことは、自分の力ではどうにもならないんだなあ』ということを、悟りました。


そのときの向日葵の花がものすごく大輪で、満開の時点で重みでちょっと茎が曲がってしまうほどでとてもキレイだったことを、今でもよく覚えています。


向日葵は私の都合に合わせて咲いてはくれませんでした。

けれど、見事な大輪の花を見せてくれた。


それは、人生と同じ。

自分の都合のよいようになんか、運ばない。


だけど、想像していた以上に、素晴らしい大輪の花を咲かせることもある。



毎年、向日葵を見るたびにあの夏のことを思い出すのでした。



今日も読んでくださってありがとうございました。

みなさまの毎日にププッと笑顔があふれますように♪








栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。