売れるブランディングの根幹は「お見合い写真と釣り書き」のようなものです。

こんにちは。栗原貴子です。


この時代に生きる私たちの生活は「経済活動」の上に成り立っています。

だから、どうしても「お金」の影響を受ける。

昨日、撮影&取材のお仕事できものの話になって「四半世紀、きものを着ているけれど確実に温暖化してますねえ。きものには一応、この時期はコレ、っていう季節の装いがあるのだけど、今年は3月ごろから気温が高くて『無理っす』って思いましたもの」という話をしました。


きもののシーズナリティ豆知識

①「袷」「単衣」「夏物」というお仕立ての違いによるシーズナリティ

②描かれている「柄」のモチーフによるシーズナリティ


の2つがあります。この2つの掛け算で「この季節にぴったり」なものを選ぶように作られています。①のお仕立ての違いでは9月は「単衣」ってことになっておりますが、この気温ですものね。「きもののシーズナリティを決めた時代とは大いに気候が違う」のがよくわかります。時代は変わっている。今までのセオリーが通用しないのは言うまでもありません。


「お金」の話に戻しますと、年々、税金や社会保険料がアップしていて「手取り減」という状態です。不作の年に年貢をよこせと、お上にせっつかれて庶民苦しむ、いうストーリーの時代劇に激しく共感します。


しかし、ここでお上をディスったところで何の解決にもなりません。江戸時代には徳川の将軍のどなたかが「熱海から温泉を江戸まで運ばせる」という無茶ぶりをしておりました。熱海の温泉は温度が高く、アツアツで出発すると江戸につく頃にはちょうど良い湯加減だったらしいです。


運んでいた人たちの、その速さに驚愕です。

最初のころは馬とか使って陸路。後半は船だったらしいですけどね。


お上の無茶ぶりを庶民がクリアという歴史をたどって、現代の私たちがあるわけです。


なので、「景気が~」とか「国が~」とか「行政が~」とかいうのは、日本という国のある種、お家芸です。私たちが歴史の授業で「農民一揆」を学んだように、100年後の教科書で「平成最後の年に庶民が〇〇をして~」というような、歴史に残る何かをしでかしてやろうぜ、ぐらいの意気込みで今を生きたいものです。一揆みたいな乱暴なのはいけないけどね。


きもののシーズナリティがミスマッチを起こしているように「今までの考え方」が通用しない今。どうすりゃいいのか? ってそこが悩ましいわけですけれど。


「投資」と感じてもらえるかどうか


これが「売れる」「売れない」の「分かれ目」になります。


個人の支出を「消費・浪費・投資」にわけて考えることの啓蒙はしきりに行われています。

これって「販売する側」にも言えることです。


そして「消費」も「浪費」も考え方ひとつ、で「投資」になる。


例えば、食材は「なければ生活ができないもの」という意味では「消費」です。しかし、そこにただ「お腹を満たすため」から「未来の健康のために」という意味が負荷されれば「投資」になります。


個人レベルでは、かりそめの贅沢や衝動買いの言い訳に「投資」という意味付けをするのではだめですよ? そこはしっかりと考えて、その「投資」の「元を取る」ぐらいの意気込みでい続けることが大事です。


提供する側は「元を取っていただいてもご満足いただけます」ぐらいの意気込みで商品やサービスを提供すること。これに尽きます。


そして、この「満足」というのはあくまでも「個人の感想です」に終始します。

満足度、というのもはつきつめればお客様の「お気持ち」です。


その商品を売った後も、お客様の個人の感想である「満足しているお気持ち」を満たし続けることができる。


それが、「売れるブランディング」の根幹になります。


ブランディングはこの根幹の部分をどこまで掘り下げていけるか。


そこを考えると「提供側のマインド」を問われることになります。


ひとつの商品が最低でも100万円~という商品のパンフレットをつくっているときに「パンフレットだけで売れるパンフを作ってほしい」と言われて、制作スタッフが全員で「唖然」としました。


こんなことを冗談ではなくて本気で「ペロっ」と言っちゃうその心に唖然としたのですね。


パンフレットはあくまでもツールです。

ツールをどう「使いこなすか」は御社の皆様のおチカラにかかっています。


ツールはいわば「お見合い写真と釣り書き」

それによって「お見合いするかどうかを決める」

お見合いを経て「お付き合い」となるかならないかは、お見合いの席での「自分プレゼン」次第。

お付き合いを経て「ご成婚」と至るかは、「お付き合い」の中身が決め手。


セールス・プロ―モーションツール(SPツール、販促ツール)って「お見合い写真と釣り書き」なんです(今、わたし、すごくわかりやすい例えを思いついたような気がする! と自画自賛)


お見合い写真を修整しまくったら、「会ってがっかり」を誘発するだけだし。

釣り書きを「盛りすぎ」たら「経歴詐称」になります。


実物の「良さ」を「余すところなく正しく、誠実に伝える」ように見せる「匙加減」が私たち、こうしたツールを作る人の手腕にかかっているわけです。


ご商品やサービスを「提供する側」の方がそのツールを使って「お見合い」のような気持ちで商談の場に参上していただくことで、「さらに好感度アップ」になって、ご成約に至るようにと考えております。


なので「お伝えしたいことはわかりますが、デザイン的に文字ばっかりに見えてしまうので文章を少なめにしてほしい」といったリクエストがデザイナーから出ることがあります。


「でも、このポイントはどうしても伝えたいから『読みたい人が読めるページ』を作れませんか?」と私からお願いをすることもあります。


クライアントから「もう少し、〇〇について触れたい」というご要望があったときも、「いきなり全部見せよりも、少し控えめに奥ゆかしく、徐々に明るみになるようにしたほうが御社の魅力が伝わると思います」とご提案することもあります。


お客様に「投資」と感じてもらえるように。

「元を取っても大満足」と感じていただけるように。


ツールづくりを通じて、ご提供側の未来のユーザー様との「お見合い心得」をすり合わせていくことも、大事なプロセスだと私は思っております。


「売るために」提供側がするPRや宣伝の在り方も、昔とは違います。

どーんと派手にバーンとすればいいってもんじゃなくなっています。


このぶどうも、最終的に「商品」となる日のために。

こうして手をかけて育てられている(確か、ワインになる子だったかな?)

地道な努力は実を結ぶまでに時間がかかるけれど、

こうした地道な努力を続けていくことがビジネスの継続や繁栄につながるんですよね。

今日も読んでくださってありがとうございました。


災害が頻発している中、普段の暮らしが営める私たちは「自分の役目をしっかり果たす」ことが大事なのだと感じています。

みなさまの毎日にププッと笑顔があふれますように♪


栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。