続・憧れの掃除機ダイソンDC63タービンヘッドがやってきた

こんにちは。栗原貴子です。


前回、ダイソンの掃除機がやってきた興奮を綴った。

性懲りもなく、また書く。掃除をしては執筆欲が掻き立てられる。こんなに情熱を覚える買い物は久しぶりである。クライアントでもないダイソンの商品を礼賛するのは、私にギャラをお支払いしてくださっている企業の皆様に大変、申し訳ないが、私のブログなどたいしたアクセス数がないのでよしとしよう。

前回は届いた直後にどうしても「驚きの吸引力」を試したくて葛藤した様を描いた。じつは、その日の夕刻、仕事がひと段落すると私はどうしても我慢ができずに再び、ダイソンに手を伸ばしたのだ。掃除に中毒性があるとは知らなかった。

ふとん用アタッチメントを装着し、枕に狙いを定める。

枕からの収穫が多いことに、驚愕した。清潔には気を配っていたつもりだったが、本当に「つもり」に過ぎなかった。収穫物は埃状になっていて、布製品の収穫量が多いことに私は味をしめた。


もはや「収穫」と表現するなど、完全に掃除のコンセプトを逸脱している。


ベッドパッドやマットレスという大物は次回に譲ることにして、クッションにターゲットを定める。合計6個のクッションと2個の椅子の座面を吸引。目を見張る収穫量である。

先日、お仕事でご一緒した男性との雑談で私は唐突に「ダイソンを買った喜び」を語ってしまった。『え? このオバサン突然、どうしたの?』と思われなねないふるまいだが、幸いなことにこの男性も「ダイソン愛好家」だということで盛り上がった。


彼はドライヤーも持っていて、私は「いいなあ」と羨望の眼差しを投げかけながら、「吸うのと吹くのの違いがあるのに、音はおんなじですよね?」などと言ってしまった。自分でも何が言いたかったのか、謎である。


ダイソン愛好家の先輩の御仁と、収穫の喜びについて熱く語り合った。

「埃のほかに白っぽい粉みたいなのが取れるじゃないですか」と彼。

「捕れますね、あれは肌の角質でしょうか?」と私。

「角質のほかに、ダニの死骸も入っているんでしょうね」と彼。

「わあ、顕微鏡が欲しいですね!」と私。

「・・・・・・」と彼。

お顔には『この人、何言ってるの?』と書いてあったような気がするが、たぶん気のせいだ。あれだけの収穫を喜んでいるうちに、次第に微細なゴミの正体を顕微鏡で調べたくなるのが人情ってものである。

未来の武器っぽいたたずまいが、案外、和ダンスとしっくりくる。


驚きの吸引力がもたらした興奮が落ち着いて、ようやく「説明書」の存在に気づいた。私は「説明書を見ずに組み立てたり、使い始めたりする」タイプである。事前によく読むべきものに目を通さないことが、どれだけ「よくないこと」か知っているくせに、この癖は治らない。


遅ればせながら説明書を開くと、ダイソンは説明書もイカしていた。

す、スタイリッシュ! 

イラストもレイアウトもなんと洗練されているのだろうか。説明書を読むと意識が遠のく私のようなタイプの人間をも弾きつける。おまけに紙の質もよく「保存しよう」という意欲が高まる。ページ数も少なく、要点が完結にまとめられていて、構成もお見事だ。


首尾一貫したブランディングの妙技にほれぼれする。

製品の開発のときから、この説明書に表現されている世界観が構築されていたのだろう。ううむ、これが世界的ヒット商品の技。


私自身は製品が完成したのちの「ツールづくり」の段階でブランディングやライティングにかかわることが多いが、教材として学ぶところが多い。

微細なゴミの集合体の可視化に興奮気味の半日を過ごし、脳に分泌されたホルモンもやや落ち着きを取り戻し空腹を覚えた。人は興奮していると食欲が減退するのか。ダイソンでダイエットができそうである。


多くの人を魅了する理由は、信念や世界観が首尾一貫していること。

それに尽きるのだな、と感服した。


それは人も同じ。

芯や軸がブレている状態のとき人は魅力を放てない。

けれど、人生にはブレそうになる瞬間が幾度も訪れる。

周囲の顔色を窺って、日和見的な態度をとるうちに自分の芯や軸を見失うこともある。


ブレたり見失いかけたりしてきたからこそ、「ブレないことの大切さ」を痛烈に感じる。それでも、「ブレないように」と地に足をしっかりつけておくことを意識し続けていなければ、うっかりブレかける危うさからは逃れられない。


しばらくは、ダイソンを取り出して微細なゴミの収穫にいそしむたびに、自分の「芯」「軸」の在処を確認することになるだろう。

自己啓発にもなるダイソンは、世界でもただひとつの掃除機、であった。


今日も読んでくださってありがとうございました。

みなさまの毎日にププッと笑顔があふれますように。





栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。