【謹賀新年】2022年師走のダイソンの思い出

あけましておめでとうございます。

こうしてまた無事に新しい年を迎えることができ、とても幸せです。

色々と悩ましい時勢が続いておりますが、

皆様の毎日に、大小さまざま、色とりどりの幸せが溢れる年になりますように!

本年もなにとぞ、よろしくお願い申し上げます。


さて。

2022年、暮れも押し迫って段差を見逃しすっ転んで手首を負傷。

ブログに書いてFBでも投稿し、皆様に多いに優しいお言葉をかけていただいたおかげで、1月2日現在、ほぼ治ったといってもよいのではないか、というまでに回復。ありがとうございました!

手首を痛めていた間、もっとも支障をきたしたのは家事だった。家事にはとにかく「手首のスナップを利かせる」動作が多いのである。


とはいえ、私が負傷してるからといって、チリや埃が「遠慮しておこうか」と気遣いをしてくれるわけではない。私自身の毛髪も、負傷したパーツを私と共有している仲間であるにも関わらず、普段通りに抜けていた。


『軽く、お掃除ワイパーでもかけるか』

とお掃除ワイパーを取り出したが、これが予想以上に手首を酷使する動作であることに気づき、掃除機のほうが手首への負担が少ないと判断した。


私はダイソンの掃除機を愛用している。憧れのダイソンがやってきた日のことは、こちらの記事にしたためているので、よかったらお楽しみください。

この掃除機は吸引力も素晴らしいが、ヘッドの動きもかなりスムーズ。左手でもけっこう操作でき「さすが、ダイソン!」と声に出して誉めた。私はよく、自宅で電化製品を誉めたり、激励するのだが先日、人前でセットアップ中のスマホに「がんばれ、がんばれ」とうっかり声に出してエールを送ってしまい、気まずい雰囲気になってしまった。


負傷中の私を気遣うかのように、チリや埃、髪の毛をぐんぐん吸引していたダイソンの吸引音が突如、とぎれとぎれになりパタッと停止した。

「どうしたの? だいじょうぶ?」

スイッチを入れると、再び、とぎれとぎれの吸引音の後に停止。これは励ましでどうにかなることではない、と私も直観した。何か、異物を吸引してしまったのだろうと見当がついたので、ヘッドを外してブラシのごみを除去することにした。


まさかの、手首にスナップを利かせる動作の発生である。


しかし、大丈夫なのであった。自慢じゃないが、私は右利きの割には左手が器用である。左手で「字を書く」「箸を持つ」ことはできないが、それ以外はなんとかできるのだ。左手メインでヘッドのブラシを取り出して、からみついた髪の毛や埃を除去して元に戻した。


しかし、改善しなかった。

PCで検索したダイソンの公式サイトに同じ症状の改善法が書いてあった。私の処置は正しかったことを知り、ほっとする。先に調べてから、ヘッドのお掃除をすればいいのに、と自分でも思ったが正解だったのだから、よしとしよう。


この場合はカスタマーセンターへのお電話コースである。


フリーダイヤルから、ナビゲーションに従って何度か番号をプッシュすると「吸引しなくなったトラブル」のご担当の方につながった。山田さん(仮名)という女性だった。私は、「とぎれとぎれに吸引して4回ぐらいで止まってしまうので、ヘッドの掃除はしたけれど改善しなかった」と症状を述べた。


「吸引が止まってしまう、ということですがそれは『ギュイーン、ギュイーン、ギュイーン』という感じでございますか?」

突然の山田さんの吸引音のモノマネに、私はうろたえながら「そ、そうです! そんな感じです! そして、4回目ぐらいで停止します」と食いつき気味に返事をした。掃除機の吸引音のモノマネなどという、かなりおもしろいことをしてくれたのに、山田さんはクールである。

「では、私に実際の掃除機の音を聞かせていただけますか?」

電話越しに掃除機の吸引音を聞かせてください、ということなのだが人生で初めてそんなことを言われたので、私は瞬時に理解することができず、

「音を、電話で? ですか?」

と間抜けな返答をしてしまった。

「はい。お手数ですが、お願いいたします」

山田さんはきっと、カスタマーがめんどくさがっているかも? と想定したのだろう。いや、私はめんどくさいというよりは生まれて初めての「電話越しに掃除機の吸引音をお聞かせする」という行為にワクワクし始めていた。

「わかりました! では、コンセントを差し込みますので少々、お待ちください!」

こちらも、動作を実況することにした。

「お願いします」

と山田さんもクールに対応してくれる。

「コンセント差しました。スイッチを入れます」

「お願いします」

ギュイーン、ギュイーン、ギュイーン、ギュイーン、ギュイーン、停止。

ギュイーンは4回だとばかり思っていたが、実際には5回だったと気づく。

「5回でしたね」

と私が言うと、クールな山田さんはカスタマーに恥をかかせてはいけないと思ったのか

「5回でございましたね。ありがとうございました。やはり、異物が詰まっている音なのですがヘッドのお掃除はされたとのことなので、おそらくヘッドのクビの部分に異物が挟まっている可能性がございます」

と電話越しのヒアリングでの診断結果を述べてくれた。

「異物を吸引してしまうと、故障を防ぐために安全装置が働いて吸引しなくなるのです」

という山田さんに説明に、思わず「お利口さんですね」と返してしまった。クールな山田さんもこれには「うふふ」と笑ってくれた。

「お客様にご対応いただきたいのですが、よろしいですか?」

「もちろんです!」

「では、異物を取り出すための割りばしや菜箸などをご用意いただけますか?」

「はい。用意しました」

ダイニングテーブルにデリバリーについてきた割りばしが置きっぱなしだったので、山田さんをお待たせすることなく箸を速やかに用意できたのである。山田さんは私がこんなにスピーディに箸を用意できたことを、不思議に思っているだろう。

「ありがとうございます。箸を入れて異物をかきだしてください。よくあるのが、クリップやピーナッツなどなのですが」

「ピーナッツ。ふふふ」

「ナッツ類」ではなく「ピーナッツ」と限定されているところがツボってしまった。箸を入れると確かに異物があり、音から察するに「小さなビニール袋」のようだった。

「私はどうやらピーナッツではなく、ビニール袋のようです」

山田さんに報告すると「引っぱり出せますか?」と聞かれた。しかし、右手を負傷している私は箸がうまく使えないためなかなか引っ張り出せない。

「引っぱり出せません!」

と報告すると

「では、反対側に押し出してみてください!」

と山田さん。

「わかりました。箸が短いので長い箸に変えます!」

と菜箸を取りに行く。

「お願いします!」

さすがに菜箸はテーブルの上に出しっぱなしになっていなかったので少々、山田さんをお待たせしてしまった。長い菜箸に変えて、もう一度異物を押すと、反対側からポロリとビニール袋がこぼれ出た。

「出ました! スペアのボタンが入っている、小さなビニール袋でした!」

「良かったです! では、ヘッドを取り付けてもう一度、音を聞かせてください!」

気づくと山田さんと私には、なにかすごいミッションに立ち向かっている同志のような連帯感が生まれていた。

「はい! ヘッドを付けるのでお待ちください」

「お願いします!」

何度もヘッドを付けたり外したりしたので、左手メインでもスムーズに装着できるまでに上達していた。

「付けました! 今、出てきた埃を吸います」

「お願いします!」

「吸います!」

正常な吸引音が響きわたり、取り出した埃はたちまち吸い込まれていった。

「直りました!」

「良かったです!」

「ありがとうございました! 助かりました!」


こうして、私の愛用のダイソンは驚きの吸引力を取り戻したのだった。


故障を防ぐべく、自ら吸引をやめるだけでなく、カスタマーに電話越しに助言をして、不具合を直せる仕様になっているとは。そして、「ギュイーン、ギュイーンでございますか?」とカスタマーセンターの担当者がモノマネをし、電話越しの音で故障の原因を特定できるとは。ダイソン、流石である。











栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。