フリーランス20周年記念行事第二弾「八丈島への旅」<後編>

こんにちは。栗原貴子です。

フリーランス20周年記念行事の第二弾「八丈島への旅」<後編>です。

<前編><中編>はこちらをお読みくださいね♪



最終日は着物愛好家のあこがれの織物で八丈島の伝統工芸「黄八丈」の工房へ行くと決めておりました。

が、

朝から

残念なお知らせ。

羽田ー八丈島間のフライトは朝、昼、夕の1日3便なのですけれどね。

朝と昼の便がなーんと、天候不良で欠航に!!!

風が強すぎてあきまへん、着陸できまへん、ってことらしい。


確かに風、強い。雨も降ってる。夕刻の便は大丈夫か? ってムード。

ホテルをチェックアウトするときにフロントの方から「もし、欠航になりましたら欠航料金でご宿泊いただけますので、お電話くださいね」とご案内いただく。泊まるところに困らないで済むのはありがたい。問題は次の日中にお送りします、といっていた修正原稿のこと。『でも、明後日の昼の便で帰れれば間に合うから、ま、大丈夫』と自分に言い聞かせる。


フロントの方も「お天気ばっかりは神様にお祈りするしかありませんからね」という。「ほんと、そうですね。飛行機が飛ばなかったら、出戻りますね~」とチェックアウト。


黄八丈めゆ工房 へと向かいました。

戸口で女性の方に「どうぞ、どうぞ」と招かれると、バスツアーの方に黄八丈の染めについての説明をされているところで「一緒にお聞きになれますよ」とのことで便乗して拝聴。


説明の後、工房の見学にも便乗。「となりの建物で昔ながらの古い機で織っているのをご覧になれますよ」と声をかけていただき、拝見しに行く。

これって!

博物館収蔵品

レベルの昔の

機じゃないですか?


黄八丈めゆ工房は、山下め由さん、山下八百子さん、山下芙美子さん、親子3世代で受けついでこられた染織元。

私がうかがったとき、芙美子さんの御主人、誉さんがこの機を織っていらっしゃいました。


織っている様子に見とれているうちに、バスツアーのみなさんは「バスが発車する時間でーす」ということで一斉にお帰りに。ポツリとひとり残った私に誉さんが「あなたは時間、大丈夫なの?」と聞いてくださったので「私はレンタカーできて。バスの方に便乗させていただいて見学したんです」と答える。


着物を着るので憧れです、黄八丈(ティッシュケースなら持ってます)などとお話すると「時間があるなら、好きだけ見ていってね」と掲載された雑誌や資料、糸の見本などを直々に見せていただく。


機を後ろから見ると、こんな風になっております。ひもでくくられた重石(約5㎏)を足で操作しながら織るそう。この重石によってキュっと締まり、見事な光沢、風合いの反物になるのだそうです。一反(約12m)織るためにかかる時間はおよそ2か月。(ちなみに、こちらは売り物ではないそうです)

糸の見本です。絹と生糸の違いも直々に教えていただきました。

か、感動……。


そして、思った。私はずーっと自分がきものを着て喜んでいただけだったけれど、今は伝統工芸の背景や成り立ち、作る人に興味を持てるようになったんだなと。


誉さんが「会議に行くのでこれで失礼しますね」とお出かけになられた後、反物を織っていた女性とお話する。みなさん60代、70代だとおっしゃるけれど、お肌がつるつるである。紫外線が強い八丈島なのにシミもないし、体の動きも若々しい。

機織りは重労働だから、それが若さの秘訣なのかも。お肌つるつるはシルクプロテインね、きっと、とひとり納得する。

黄八丈を年貢として献上していた時代、織子は「20歳から40歳まで」と制限されていたという。力が弱るとよい反物が織れないからって……。お上っていつの時代もアレなんだなと思った。


めゆ工房を失礼して、名物の明日葉そばを食べていると雨が強さを増してきた。飛行機は大丈夫か? 蕎麦屋のおじさんも「うーん、どうだろうね? おじさんの予想では飛ばないかな。でも、最近、外れるからな」ってどっちですか!? と笑う。この島の人はみんなニコニコしているから、滞在3日目にして島の人とそうでない人の見わけがつくようになった。


少し、時間があったので素敵カフェ「空間舎」へ。

お手製のコーヒーチーズケーキ。あまりのおいしさにチビチビ食べる。


レンタカーを返却して空港へ。この時点でまだ、天候不良のための欠航の可能性がほのめかされながらも、一応、手荷物検査を受付中という状態。ドキドキの瞬間。待合コーナーには修学旅行と思しき中学生がいた。自分が帰れるかどうかよりも、彼らを修学旅行に行かせてあげたい、という気持ちがふつふつとわいてきた。


出発便が八丈島の滑走路に無事、着陸した瞬間、拍手が起こった。笑顔の中学生たちを眺めながら、売店の女性と「修学旅行、行けてよかったですね」と微笑みあう。


雲の上にはまばゆい太陽。地球!を実感する瞬間。


こうして、私はフリーランス20周年記念行事第二弾「八丈島への旅」から戻りました。


今日も読んでくださってありがとうございました。

みなさまの毎日にププッと笑顔があふれますように♪


栗原貴子のでこぼこオンナ道

栗原貴子/編集・ライター、コピーライター フリーランス歴23年。広告、宣伝、啓蒙につながるクリエイティブ制作、コピーライティングが得意。2019年より きもの伝道師 貴楽名義で着付けパーソナルレッスンを中心に活動開始。きもの歴は四半世紀越え。